・”パリのアパート” …世界を視野に
これからの時代は当然のことながら、資材をはじめとした仕入れにしても、店舗展開にしても世界を視野に入れておくべきだと考え、2001年の‘年頭に当たり’で「世界を視野に」という事を書きました。
そして、実際に行動に起こそうと早速パリに渡り、部屋を借りることにしました。
何れ世界に出て行くのであれば、なるべく早くから海外を身近に感じておく必要があるだろうと考えた訳です。
以前、何れ全国展開するのであれば、どこかでそのノウハウを蓄積する必要があるだろうと考え、札幌に出店したのと似た考え方です。
社員の人は3ヶ月前から、アルバイトの人は1ヶ月前から予約が出来るようになっており、これまでに結構な人数のスタッフが利用してきました。
私も年に1、2回行きますが、行く度に脳裏に焼き付くようなシーンを目にします。
買い物カゴを牽きながら前方からゆっくり歩いてくる年配のおじさんと擦れ違った時に目にした、カゴの中に野菜と一緒にさり気なく入っていた真っ赤なチューリップの束。
アパートの近くで、いかにもラグビーかサッカーをしてきた様な格好をして大きなバッグを肩に担いでいたスポーツマンタイプのお兄さんが、角を曲がった時に見えたバッグからとび出した水仙の束。
マルシェの中のフルーツを扱っている店のおじさんが、オレンジやグレープフルーツが売れるとすぐにそのコーナーに飛んで行き、綺麗なピラミッド型に積み直している姿。
オイスターバーでオイスターの回りにぐるりと廻らされているレモン。
ボンマルシェの食品館の魚コーナーで魚の口に突っ込まれたライム。
小さな露店の店先のパイナップルのへたの上に飾られたプチトマト。
…などなど、挙げたら切りがありませんし、行った事のない方にはなかなかイメージが湧かないと思います。
だからこそ、一人でも多くのスタッフに実際にパリに行ってもらい、その空気感、花の日常性、美に対するこだわりといったようなものを肌で感じて欲しいと思います。
よく、「今度パリに行ってきますが何を見てきたらいいですか?」と訊かれますが、見ることよりも‘感じる’ことが大事だと思いますし、感じることは人それぞれ違うので、あえてアドバイスはしないようにしています。
プラプラする中で、何か日本では感じられないものを感じられたらそれで十分だと思いますし、その結果、世界を少しでも身近に感じてもらえたらと思っています。